予防接種|千駄木こどもクリニック|文京区千駄木の小児科・アレルギー科

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予防接種

予防接種|千駄木こどもクリニック|文京区千駄木の小児科・アレルギー科

予防接種(ワクチン)とは

予防接種(ワクチン)とは

人間の体には侵入してきたウイルスや細菌をやっつけて病気を治そうとするしくみ「免疫」があります。人間の体は一度入ってきたことのある病原体を覚えて、次に同じ病原体が侵入してきた際に免疫が早期に働き感染しなくなったり、軽症で済んだりする仕組みがあります。これを獲得免疫といい、ワクチンは病原体の毒性をなくしたり弱めたりしたものを接種して、いざ本物の病原体が体に侵入してきても発症しなくしたり、軽症で済ませたりするものです。

日本小児科学会が推奨するワクチンと疾患の特徴

定期接種は2ヶ月から開始となります。各ワクチンの接種時期と回数は下記図も参考にしてください。

 

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(保護者用)

肺炎球菌

乳幼児期に菌血症・敗血症や肺炎や髄膜といった侵襲性肺炎球菌感染症を起こすことがあります。中耳炎の原因菌としても多いですが、ワクチンは主に重傷となる前者を防ぐ目的で行われています
侵襲性肺炎球菌感染症はワクチン導入前から比較して2020年には77%減少しており、髄膜炎に関しては90%減少したと報告されています。

※2024年からは15価ワクチンが導入され、さらなる予防効果が高まることが期待されています。

5種混合(DPT-IPV-Hib)ワクチン

5種混合ワクチンの内訳は、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hibワクチンです。
※2024年2月以前の生まれのお子様は4種混合ワクチンとHibワクチンを別々に接種していました。

ジフテリア

ジフテリア菌は喉に感染し毒素を産生して気道(空気の通り道)が炎症で狭まりクループ症状(犬が吠えるような咳や呼吸苦)を生じたりします。重症化すると気道がふさがり、命に関わることがあります。毒素は心臓の筋肉や神経を侵す場合もあり、こちらも命に関わることがあります。

百日咳

百日咳菌と呼ばれる細菌が喉などについて生じる感染力の強い菌です。日本では年間1万人くらい罹っていると推定されています。学校や職場で集団感染することもあります。兄弟家族から新生児(6ヶ月以下とくに3ヶ月以下)に感染すると重症化することがあり、息が止まる無呼吸発作で亡くなることもあります。

破傷風

破傷風菌は怪我をした傷口から侵入し体の中で増え、筋肉をけいれんさせる破傷風菌毒素を大量に出すために生じる重い感染症です。だんだんと口が開けにくくなり、その後全身の筋肉が縮んでけいれんがおこります。体がのけぞって(後弓反張)骨折することもあるほどです。

ポリオ

ポリオウイルスによって感染し約1,000~2,000人に1人は手足のまひが起こり、運動障害が後遺症として残ることがあります。南アジアやアフリカなどのごく一部の地域では現在でも流行しています。

Hib(ヒブ)

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b)の頭文字をとってHib(ヒブ)ワクチンと略します。インフルエンザ菌のうち全身性感染を起こしやすいtype b株の感染を予防するためのワクチンです。 ※冬に流行するインフルエンザウイルスとは別です。
Hibワクチン導入前の日本では、年間約600人が重いHib感染症である細菌性髄膜炎になっていました。細菌性髄膜炎は毎年約1,000人がかかっていましたが、60%がHibによるものでした。2013年度から定期接種となり細菌性髄膜炎の発生率は減少し、2014年度はヒブによる髄膜炎が発生しませんでした。

BCG(結核)

日本の大人を含めた患者数は年間約23,000人と少なくありません。3歳以下、特に1歳未満の乳幼児が感染すると粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)という重い肺結核になったり、脳を包む髄膜に感染する結核性髄膜炎で死亡したり、重い脳障害が起こることがあります。

麻疹・風疹(MR)

麻疹(はしか)

空気感染する感染力の非常に強いウイルスです。感染して約10日の潜伏期後に、まず発熱と鼻水、せき、目やになど風邪と似た症状が出ます。熱の程度が少し軽減した発症3~4日目から高熱とともに体に赤い発疹が出てきます(二峰性発熱)。高熱は合計7~10日間くらい続きます。乳幼児は合併症を起こしやすく気管支炎、肺炎、脳炎などで亡くなる人もいます
日本は2015年に世界保健機関(WHO)から麻疹を排除できた国に認定されましたが、未だに外国から持ち込まれ麻疹が発生しています。

風疹

約2~3週間の潜伏期の後に熱が出て、首のリンパ節がはれ、体に赤い発疹が出てきます。発熱するのは3~4日間ですが、熱の出ない人もいます。妊娠初期の女性が風疹にかかると生まれた赤ちゃんが難聴、白内障、心臓病、精神運動発達遅滞などを持った先天性風しん症候群(CRS)になることがあります。将来結婚し妊娠する可能性がある女児はもちろん、妊婦さんの周りの皆が免疫をもつことでCRSのお子様を減らすことができます。

水痘(水ぼうそう)

麻疹と同様に空気感染します。2~3週間の潜伏期の後に、熱が出て、体に虫にさされたような赤い斑点が出てきます。発疹は1日くらいで水ぶくれになり、全身に広がります。脳炎や肺炎、皮膚の重い細菌感染症を合併して重症化することがあります。

日本脳炎

日本脳炎ウイルスに感染した豚の血液を吸った蚊を介して人に感染します。約100~1,000人に1人が脳炎を発症し、そのうち15%ほどが死亡するといわれています。日本含めフィリピン、インドといった東南アジアで流行している病気です。

ロタウイルス

ロタウイルス胃腸炎は水のような下痢が何回も続き、それに嘔吐が伴い脱水症になりやすい感染症です。脳炎などおこすと重症化することがあり、ワクチンによる予防が重要です。ワクチンはロタリックス(1価 2回接種)とロタテック(5価 3回接種)がありますが、効果は同等とされております。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスは体に入ると肝炎をおこし、長く肝臓にすみついて(慢性化・キャリア化)、肝硬変や肝臓がんをおこします。毎年約2万人がかかっています。非常に感染力が強いウイルスで、感染経路はB型肝炎を持った母親から生まれる時に感染したり(母子感染)、感染した家族からのキスなど唾液を経由した感染、ウイルスに汚染された人との性行為などでの感染(水平感染)などです。

HPV(ヒトパピローマウイルス)

HPVは主に性行為によって感染します。HPVウイルスは子宮頸がんの原因となり、日本では年間11,000人の女性が子宮頸がんに感染し2,400人が亡くなっています。さらには膣、外陰部、肛門、口腔、咽頭のがんの原因となることもあります。がんの原因となるHPVの型に対応したワクチンがあります。小学校6年生の学生から、15歳未満(15歳の誕生日前日まで)の女性は2回、15歳以上では3回の接種が必要です。
世界的には先進国では男性も9価ワクチンを接種しています。これは、男性がワクチンを接種することで、男性自身もHPVが原因となる肛門がん、尖圭コンジローマなどの予防ができ、かつ女性にHPVを移さないようにすることで女性の子宮頸がんの予防にもつながるためです。日本ではまだ4価ワクチンが認められているのみです。
文京区では小学校6年生~高校1年生相当の男子男児に公費で4価ワクチンの接種が可能です。詳しくは区のホームページをご覧ください。

 

任意接種

おたふく風邪

おたふく風邪ウイルス(ムンプスウイルス)によって生じます。2~3週間の潜伏期の後に、両方またはどちらかの耳下腺がはれてきます。発熱はないこともあります。強い頭痛をきたす無菌性髄膜炎が約50人に1人の割合で起こります。また一生治らない重度の難聴が約1,000人に1人の割合でおこります。このような合併症があり世界の多くの国では定期接種となっている重要なワクチンです。

インフルエンザ

6ヶ月児から13歳未満の児は2回、13歳以上の児は1回接種します。
風邪症状から気管支炎、肺炎など呼吸器の重傷症状や、脳炎・脳症といった中枢神経症状を起こして重症化しやすい病気です。日本のこどもの脳炎の最大の原因で、毎年200~500人が脳炎になり、後遺症を伴ったり亡くなったりすることもあります。予防接種で完全に防ぐことはできませんが、感染後の重症化を防いだり、入院率を下げたりするといわれています。